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    2008年4月24日木曜日

    巷説百物語/続巷説百物語

    『巷説百物語』『続巷説百物語』 京極夏彦(著) 角川文庫

    百物語本の開版を悲願に諸国を巡り歩く、江戸の蝋燭問屋の若隠居山岡百介がひょんなことから関わることになった御行・又市たち小悪党。闇に生きる彼らの“仕掛け”を表の世界から手助けする百介の目線から語られる物語はまるで妖怪変化の仕業のようだった。

    読了の2作に加え、『後巷説百物語』『前巷説百物語』に続き、現在も連載中の短編シリーズ。相変わらず分厚い文庫版で読んだが、やっぱり読み応えがあるというか肌に合うというか。物語の表裏によってまるで表情が変わってしまう“仕掛け”は、その内容以上に語る者の目線の違いが面白い。最後まで裏の顔が見えずに表から仕掛けられる側の目線で関わり、最後に少し裏の顔を覗き見る百介は語り手であり読み手であるわけで、百物語を地で体験してしまう辺りの彼の狼狽振りや行動まで実は口先三寸で人を誑かす又市の手のひらの上だったという(なんだがちっとも面白そうに伝えられないが)その展開の巧さ。ましてやそれをシリーズ化しながら、またかと思わせるようなパターンに嵌らないのは凄いことだと思う。

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